TOKYOROOMS展 クリエイターインタビュー
さまざまな分野で活躍するクリエイターたちが、それぞれの価値観で「6畳の部屋」を表現する展覧会「TOKYOROOMS展」。
同じ広さの空間でありながら、そこにはつくり手の原体験や思想、そして美意識が色濃く表れている。
今回は、ニューヨークでの経験を原点に空間づくりを続けてきた谷口勝彦さんに話を聞いた。

Q. 今回の展示テーマを受け取ったとき、最初に浮かんだ情景は何でしたか?
A.
ニューヨークで過ごした時間が思い浮かびました。
特に90年代初頭に出会った、バーニーズニューヨークのクリエイティブディレクターだったサイモン・ドゥーナンや、周囲のアーティストたちとの記憶です。
彼らのスタジオは巨大な倉庫のような空間で、膨大なプロップスやマネキン、アンティークのオブジェが整然と並んでいました。そこからウィンドウディスプレイや空間が生まれていく。その光景はいまでも強く印象に残っています。
今回の部屋には、そうした記憶の断片を少しずつ散りばめています。
Q. これまでの活動や原体験の中で、今回の部屋づくりに影響しているものは何ですか?
A.
ニューヨークで出会ったクリエイターたちの存在は大きいですね。
陶芸家でありながら家具やファブリックまで手がけるジョナサン・アドラーや、さまざまな分野のアーティストたちと仕事をしてきました。

彼らに共通していたのは、とても自由な発想です。
一つのジャンルにとらわれず、さまざまな要素を組み合わせながらシーンをつくる。その感覚は、今回の空間にも自然と表れていると思います。
Q. 今回の部屋で、来場者に最も感じてほしいことは何ですか?
A.
自分の感覚で空間を楽しんでほしいですね。
世の中にはミニマルとかシンプルとか、いろいろなデザインの言葉があります。でも実際の生活は、そんなに整然としたものではない。
安っぽいものの中にも魅力的なものがあるし、高価な家具とチープなオブジェが並んでいても、そこに不思議とムードが生まれることがあります。
今回の部屋も、少し雑然としている。でもその雑然さの中に空気感がある。そんな空間を感じてもらえたら嬉しいですね。
Q. あなたにとって“部屋”とはどのような存在ですか?
A.
難しい質問ですね(笑)。
くつろぐ場所、というのはもちろんありますが、それだけではない。
僕にとって部屋は、妄想や思考を引き出す場所なんです。
目に入るものが、何かの引き金になる。
写真集でもいいし、くだらないオブジェでもいい。子どもの頃に駄菓子屋で当たった安っぽいおもちゃみたいなものでもいい。
そういうものを見ることで、記憶やイメージが呼び起こされる。
だから部屋には、高価なものとチープなものが雑然と並んでいます。
それらが、自分の思考や想像力を刺激する“トリガー”になっているんです。

Q. 来場者へのメッセージをお願いします。
A.
特別なことをしなくても、空間は変わると思っています。
たとえば縦に置いているものを横にしてみる。少し場所を動かしてみる。
それだけでも、部屋の雰囲気は変わるんです。
部屋づくりは誰でもできること。
雑然としていてもいいし、そこから自分らしいムードが生まれることもある。来場された方には、「こういう楽しみ方もあるんだ」と感じてもらえたら嬉しいですね。
自分の部屋を、少しだけ面白がってみてください。
