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Vitra — デザインと持続可能性を追求するブランドの歩み

目次

Vitraの創業と初期の歴史

Vitra(ヴィトラ)は、1950年にスイスで創業した家族経営の家具メーカーです。創業者であるWilli Fehlbaumは、もともとバスルートを運営していましたが、アメリカのモダンデザインに触発され、家具製造を始めることを決意しました。彼は当時、世界的に名高いデザイナー、チャールズ&レイ・イームズ(Charles & Ray Eames)やジョージ・ネルソン(George Nelson)とのコラボレーションを通じて、Vitraをデザイン界のリーダーとしての地位に押し上げました。Vitraは、彼らの作品をヨーロッパで製造し、特にイームズ夫妻がデザインした椅子は、現代デザインの象徴となっています。

Vitraの成功は、単なる家具製造にとどまらず、デザインに対する革新的なアプローチにありました。特に、Vitraは単なるクライアントとデザイナーの関係ではなく、デザイナーとの深い協力関係を築き、共に最良のデザインソリューションを模索する姿勢を持っています。このアプローチは、時には成功までに時間がかかることもありましたが、結果として長く愛される名作を生み出すことにつながりました。

Vitraのデザイン哲学と「デザインマネジメント」

Vitraは、デザインを単なる商業活動と捉えず、芸術的・学術的探求として位置づけています。この「デザインマネジメント」の考え方は、単に美しい製品を作るだけでなく、ユーザーの生活に持続的な価値をもたらすことを目指しています。Vitraが重視するのは、極端なデザインと実用性のバランスです。目を引くような革新的なデザインだけでなく、日常で長く愛用される実用的な製品も同様に重視しています。この理念の一例が、1987年に発表された「Vitra Edition」であり、これは短期間で開発された大胆なデザインが注目を集めました。

さらに、Vitraはデザイナーたちとの長期的なコラボレーションを重要視しており、これによって製品開発における一貫性と創造性を維持しています。例えば、チャールズ&レイ・イームズや、アントニオ・チッテリオ(Antonio Citterio)などの著名なデザイナーとのコラボレーションは、Vitraのデザイン哲学を体現しています。

Vitra Campus — デザインと建築の象徴

Vitraが設立した「Vitra Campus」は、スイスとドイツの国境沿いに位置するヴァイル・アム・ラインにあり、デザインと建築の象徴的な場所として知られています。Vitra Campusには、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)、ザハ・ハディッド(Zaha Hadid)、ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)など、世界的に著名な建築家たちが手がけた建築物が集まっており、デザインと建築の愛好家にとって「聖地」とも呼ばれる場所です。

特に注目すべきは、1981年の大火災でVitraの工場が全焼したことを契機に、Vitraが建築とデザインを一体化した取り組みを始めたことです。これにより、Vitraは製品だけでなく、建築や環境デザインの分野でも世界的な影響力を持つ企業となりました。

イームズ夫妻とのコラボレーション

Vitraの歴史において、特に重要なパートナーシップの一つが、チャールズ&レイ・イームズ夫妻とのコラボレーションです。彼らのデザインした「イームズチェア」は、シンプルで機能的なデザインが特徴であり、今でも世界中で愛されています。このチェアは、1950年代に発表され、Vitraはこの製品をヨーロッパ市場で製造・販売しました。イームズ夫妻のデザインは、Vitraにとって単なる製品以上のものであり、モダンデザインの象徴としてブランドのアイデンティティを形成する重要な要素となっています。

また、イームズ夫妻とのコラボレーションは、Vitraのデザイン哲学にも大きな影響を与えました。彼らのデザインは、ただ美しいだけでなく、実用性を追求したものであり、これはVitraの製品にも一貫して反映されています。

持続可能なデザインと未来への展望

Vitraは、持続可能なデザインを追求する企業としても知られています。彼らの製品は、高品質な素材と高度な技術で製造され、長期使用を前提とした設計がされています。これにより、製品が長く使用されることで、環境への負担を減らすことができるという理念を持っています。

また、Vitraは持続可能な材料やエネルギー効率の高い製造プロセスを積極的に採用しており、サステナビリティに対する取り組みを強化しています。未来に向けて、Vitraは引き続きデザインとサステナビリティを両立させる新しいプロダクトを開発し、次世代のライフスタイルをサポートする製品を提供していくでしょう。

代表的な製品ライン

Vitraの代表的な製品には、以下のようなものがあります。

Standard

Standard natural oak deep black

STANDARD(スタンダードチェア)は、Jean Prouve(ジャン・プルーヴェ)がデザインした家具の中でも最も有名な椅子です。

ジャン・プルーヴェは、椅子に座った時、後脚に最も負担がかかるという椅子の本質を見抜き、スタンダードチェアのデザインに生かしました。
かかる重さが比較的軽い前脚には細い鋼のチューブを使い、より大きな重さがかかる後脚には、太さをもたせた中空の鋼板を用いる事で椅子にかかる重さを床へ逃がせる構造になっています。

Panton Chair

classic red
white

ヴェルナー・パントンがデザインしたこの椅子は、世界初のプラスチック製一体成形のチェアとして知られています。

Coffee Table

black ash

イサム・ノグチによる「コーヒー テーブル」は、ガラスの天板や脚部が有機的なフォルムで、まるで彼の彫刻作品の1つであるかのようなデザインです。
ノグチ自身もこのテーブルを彼のこれまでの家具作品の中でも最高のデザインであると考えていました。
脚は、重く頑丈なガラス天板を安定して支えるため、天板と直角に配置されています。

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