Interview
MAGISのデザイン哲学とは?名作家具の魅力を深掘り
今回は、イタリアを代表する家具ブランド、MAGIS(マジス)の東京ショールームを訪問。
マーケティング部 部長の石村さんに、注目のプロダクトについて詳しく解説していただきました。
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Interviewer:
Momoka Koyano
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Text:
Kenta Ohno
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Photo:
Yuji Zendou

石村 成世
Magis Japan Co., Ltd. / Senior Marketing Manager
PR会社、輸入代理店、外資系消費財メーカーにおいて、マーケティングコミュニケーションの豊富な経験を積み、2020年にMagis Japanに入社。現在は、イタリアのデザイナーズ家具ブランド「マジス」にて、マーケティング全般を統括。ブランドの成長と認知拡大を目指し、戦略的にマーケティング活動を牽引しています。

ー 本日はよろしくお願いいたします。まず、MAGISの歴史やブランドコンセプトについて教えていただけますでしょうか?
マジス(Magis)は、1976年、ヴェネチアを州都とする、北イタリアのヴェネト州で創業しました。現在も創業家であるペラッツァ・ファミリーが経営するファミリー企業として知られています。
創業以来、「デザインの限界に挑み続けて」というキャッチコピーを掲げるマジスは、そこからもお分かりいただけるように、革新的な設計、独創性あふれるデザインの家具で評価いただいています。

ー ショールームではどんな商品が展示されていますか?
ここ「マジス 東京ショールーム」は、そんなマジスの最新作を発信・販売する場で、春夏秋冬 季節に応じてマジスとともに暮らす、シーン提案を行っています。
ご覧いただけるアイテムは、
・チェア・スツール
・テーブル
・お部屋を彩るアクセサリー照明
・棚やコートハンガーといった収納家具
・壁掛け時計や鏡などのインテリア小物
そして、マジスには、“マジス ミートゥ―”というキッズコレクションがあるのですが、クリスマスシーズンにはそれらも展示します。

ー MAGISで人気の商品について教えてください。
マジスで人気の商品といえば、まずコンスタンティン・グルチッチがデザインした「CHAIR_ONE(チェア ワン)」が挙げられます。東京駅でも見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。
同じくグルチッチによる、移動式の収納ワゴン「360°コンテナ」も人気です。
また、トーマス・ヘザーウィックがデザインした、独楽のようなフォルムの「SPUN(スパン)」も、どこかで目にされたことがあるのではないでしょうか。
ー ありがとうございます。それではまず、「CHAIR_ONE」について教えてください。
「CHAIR_ONE」は、2003年に発表されたスタッキングチェアで、メディアでも「名作椅子」として度々紹介される一脚です。
その魅力は、何といってもその革新的なデザインにあります。海外のミュージアムでは「幾何学という新しい哲学を、家具デザインの世界に持ち込んだ初めての製品」と評されるほど、その独創性は高く評価されています。
アルミニウム製で非常に軽量なため、片手で軽々と持ち運ぶことができますよ。

その独特な形状からは想像しにくいかもしれませんが、座り心地も抜群です。程よく体重が分散される角度が、正しい姿勢を保ち、快適な座り心地を実現しています。
また、インパクトのあるデザインながらも、空間に圧迫感を与えないのも魅力の一つです。軽快で程よい緊張感があり、現代的なイメージを空間にもたらしてくれるでしょう。
マジス 東京ショールームでは、「CHAIR_ONE」ができるまでの過程をたどった写真も展示していますので、ぜひ一度お越しください。
ちなみに、グルチッチについてWikiで調べると、代表的な作品のひとつとして「CHAIR_ONE」が紹介されています。その影響もあり、マジスにグルチッチの商品を期待されるお客様が非常に多いですね。


ー 「360°コンテナ」もグルチッチのデザインですね?
はい、「360°コンテナ」もグルチッチによってデザインされた商品のひとつです。2010年に発表されたこの商品は、コロナ禍において、お部屋を美しく整理整頓できる収納アイテムとして世界的に大ヒットしました。
同じサイズの収納トレーが縦に連なった、移動式の収納ワゴンといえば分かりやすいでしょうか。すべてのトレーが同じサイズなので、収納するものに合わせて自由にレイアウトを変えられます。
支柱を中心にトレーが360度回転するため、どの方向からも荷物を取り出しやすく、必要な時にサッと取り出せます。また、回転しても一旦カチッと止まる設計になっているので、開けたまま使うことも可能です。


ー 特徴的な形のこちらはなんでしょうか・・?
こちらは、チェア「SPUN」です。
この商品は、実際に座って体験していただくことで、その魅力が感じられると思います。ロッキングチェアというものがありますが、「SPUN」は回転ができる、“ローティングチェア”です。
この椅子の面白いところは、緊張していると上手く回転できないこと。リラックスした状態だと自然に回転できるんです。回転するためには、およそ2m四方のスペースがあれば十分です。
アイデア出しに行き詰まった時などに、会議室に置いてあるこの椅子でくるくると回って気分転換をする、なんていう使い方も面白いかもしれません。
また、そのユニークなルックスは、オブジェとしても活用できます。お部屋のインテリアとして使用するのはもちろん、お庭のアクセントとしても素敵ですね。


「SPUN」をデザインしたトーマス・ヘザーウィックは、2006年に36歳という若さで王室の工業デザイナーに任命された、実力派デザイナーです。
彼の代表作としては、2012年ロンドンオリンピックの聖火台や、ロンドンの新型シティバス、そして東京・麻布台ヒルズの低層階などが挙げられます。
ヘザーウィックの作品は、従来の概念を覆す独創性にあふれており、マジスのフロンティア精神と共鳴するデザイナーの一人といえるでしょう。世界中に彼の建築作品は数多く存在しますが、プロダクトデザイン、しかも実際に手に取って購入できるものは非常に限られています。
そんな中、マジスの「SPUN」は、手の届きやすい価格帯でありながら、日常的に使える実用的なラウンジチェアとして、大変貴重な存在といえるでしょう。

ー 海外デザイナーの商品が多いマジスさんですが、日本人デザイナーの商品もありますか?
はい、マジスでは海外デザイナーの商品だけでなく、日本を代表するプロダクトデザイナー、深澤直人さんのデザインした商品も取り扱っています。ショールームには、「DÉJÀ-VU(デジャヴ)」シリーズや壁掛け時計の「TEMPO(テンポ)」などが展示されており、大変人気です。
「DEJA-VU」シリーズは名前の通り、どこかで見たことがあるような、誰しもが心に思い描く象徴的なデザインが特徴です。
それは、決して空間に埋もれることなく、かといって主張しすぎることもなく、どんなシーンにも自然と調和するデザインということ。
実際にお部屋に置いてみると、その魅力がよく分かります。シンプルで美しい商品です。

マジス 東京ショールームは、東京メトロ半蔵門線、銀座線、大江戸線の「青山一丁目駅」に直結している青山ビルの1階奥にございます。
プロの方も利用されるショールームですので、製品に関するご質問はもちろん、
・どんな風に配置するのが理想的なの?
・こんな雰囲気の部屋にしたいけど、何か合うものはある?
といった漠然としたご要望でも、お気軽にお問い合わせください。
定休日は日曜・祝日で、営業時間は朝10時30分から夜7時までです。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
名作家具とともに、日常をもっと豊かに
マジスの家具は、単なるインテリアではなく、デザイナーの情熱と創造性が込められたアートピース。
ご自宅に迎え入れることで、きっとあなたの五感を通して様々な体験を提供してくれるでしょう。
ぜひサブスクライフで、お気に入りのマジス家具を見つけて、あなただけの空間を創り上げてください。