
DECEMBER CHAIRの誕生 – デザインと背景

NIKARIのDECEMBER CHAIRは、世界的に著名なデザイナーであるジャスパー・モリソン(Jasper Morrison)と日本人デザイナーの熊野亘(Wataru Kumano)によって、2012年にデザインされました。この椅子は、「12 Designs for Nature」プロジェクトの一環として発表された製品の一つであり、その名の通り一年間を通じて自然との共存をテーマにしたデザインを生み出す取り組みから生まれました。フィンランドの家具メーカーNIKARIが、このプロジェクトを通じて世界に発信したのは、自然環境への配慮とクラフトマンシップを融合させたプロダクト群でした。
DECEMBER CHAIRは、フィンランドのフィスカルスにあるNIKARIの水力発電を利用したスタジオワークショップから生まれました。NIKARIは、12人の熟練した職人とフィンランド各地のワークショップ、工場と連携し、環境に優しい素材を使った製品を手掛けています。このプロジェクトの売上の一部は、世界自然保護基金(WWF)に寄付され、環境保護活動を支援することを目的としていました。
シンプルで機能的なデザイン – ジャスパー・モリソンの哲学

ジャスパー・モリソンは、シンプルでありながらも使いやすさを追求するデザインで知られるデザイナーであり、彼のデザイン哲学は「少ないほど豊かである」というミニマリズムに根ざしています。DECEMBER CHAIRもその例に漏れず、洗練されたシンプルさと快適さを兼ね備えた椅子として誕生しました。この椅子のデザインは、北欧デザインの伝統を引き継ぎながらも、現代のライフスタイルにフィットするように工夫されています。
当初、DECEMBER CHAIRはDIYで組み立てられる椅子として設計されており、簡単に家庭で組み立てられることを目指していました。しかし、ジョイント部分の精度や湿度の影響などの理由から、その計画は見直され、現在では完全に組み立てられた状態で販売されています。この変更により、より安定した品質と確実な使用感が保証されています。
自然素材とクラフトマンシップの融合

DECEMBER CHAIRは、堅牢な無垢材フレームと、強度に優れた自然素材の張り地を使用して構成されています。フレームには、オイル仕上げのアッシュ材やオーク材が使用されており、またオークには燻製オーク仕上げのオプションも用意されています。これにより、ユーザーは自分の好みやインテリアスタイルに合わせて最適な仕上げを選ぶことができます。
張り地には、伝統的なリネンキャンバスや、ブラック、ヌード、コニャックといったカラーが選べる天然なめし革が使用されており、どちらも自然の風合いを楽しむことができます。この素材選びにより、DECEMBER CHAIRは長く使用するほどに味わいが増し、使い込むことで自分だけの一脚に育てる楽しさがあります。
さらに、NIKARIの職人たちによる丁寧な手作業で製作されたこの椅子は、その卓越した技術と品質の高さが際立っています。フレームや張り地の細部に至るまで細やかな配慮がなされており、見た目の美しさだけでなく、使い心地の良さも実感できる仕上がりとなっています。
構造と座り心地 – ミニマルなデザインに秘められた快適さ

DECEMBER CHAIRの魅力は、そのシンプルなデザインに隠された快適な座り心地にあります。この椅子は、リラックスした姿勢をとることができるように設計されており、やや傾斜した背もたれと広めの座面が特徴です。このデザインにより、座ったときに自然に背中がサポートされ、長時間座っていても疲れにくい構造となっています。
また、フレームは非常に軽量でありながらも強度があり、持ち運びがしやすいことも特長です。そのため、家庭内での移動や配置替えも簡単で、さまざまなシーンで活躍します。例えば、リビングルームでのリラックスチェアとして、またベッドルームや書斎でのくつろぎスペースとしても使用できます。さらに、ホテルやレストラン、ロビーエリアなどの公共空間でも、そのシンプルでありながら洗練されたデザインが空間に調和し、優雅な雰囲気を演出します。
DECEMBER CHAIRの多用途性 – モダンから伝統的な空間まで

DECEMBER CHAIRは、そのシンプルでミニマルなデザインにより、モダンなインテリアにも、伝統的な空間にも自然にフィットします。そのデザインは、過度な装飾を排除し、素材そのものの美しさを引き立てることに焦点を当てているため、どのようなスタイルの部屋にも馴染みます。また、そのナチュラルな素材感は、温かみのある空間づくりにも貢献します。
特に、北欧デザインの特徴であるシンプルさと機能性が際立っており、静かな佇まいの中に確かな存在感を持つこの椅子は、日常の生活に寄り添い、使用する人に安らぎを提供します。さらに、天然素材を使用した張り地は、環境にも優しく、長期間使用することで生まれる経年変化を楽しむことができます。このように、DECEMBER CHAIRは一つの空間にとどまらず、多様な場面で活用できる魅力的なプロダクトです。
NIKARIの製造哲学と持続可能なデザイン
NIKARIは、持続可能なデザインと高品質な素材の使用に力を入れているブランドです。DECEMBER CHAIRもその例外ではなく、NIKARIの製造哲学に基づき、環境に配慮した方法で製作されています。フィンランドのフィスカルスにあるスタジオでは、水力発電を使用して家具を製作し、エネルギー消費を最小限に抑えています。このような取り組みは、地球環境への負荷を減らし、持続可能な社会の実現に貢献しています。
また、NIKARIは、製品の耐久性を重視しており、長く愛用できる家具を提供することを目指しています。DECEMBER CHAIRは、その高い品質とクラフトマンシップにより、世代を超えて使用することができる耐久性を持っています。そのため、単なる家具としてだけでなく、家族の歴史を共に歩むパートナーとしての存在価値を持つ椅子です。